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2016年11月20日 (日)

うつ病などの労災認定

 工場に勤めている労働者が職場での作業中にけがをした場合、労災保険を請求することができるということはみなさんご存じだと思います。
 それでは、長時間労働・職場でのハラスメントなどが原因で、うつ病などの精神疾患になった場合、労災保険を請求することができるのでしょうか。
 
 正解は、「できます(要件を満たせば)」。


 この点については、厚生労働省が基準を定めています(厚生労働省のホームページからみることができます。)。
(認められるケース1)
 発病直前1ヶ月に160時間以上の時間外労働、発病直前3週間に120時間以上の時間外労働の場合です。時間外労働とは、週40時間以上の労働を言いますので、合計労働時間は160~200時間です。毎日コンスタントに8時間残業(=日付が変わるまで仕事)するか、土日も休まずに仕事をしている人が想定されます。
(認められるケース2)
 発病直前2ヶ月間連続して1ヶ月あたり120時間以上の時間外労働、発症直前3ヶ月間連続して1ヶ月あたり100時間以上の時間外労働の場合は労災として認定されます。土日休む場合には、2~3ヶ月間、毎日5~6時間の残業をしている人が想定されます。
(認められるかもしれないケース3)
 月100時間程度の時間外労働の場合(例:毎日5時間の残業が3月・5月・7月にあった場合など)、その他の出来事(例:ハラスメント、転勤等)ともあわせて労災かどうか判断されます。必ず労災と認定されるわけではありません。


 ケース1やケース2で、しっかりした残業の証拠(例:タイムカード等)があれば、うつ病などの精神疾患が労災として認められます。


 難しいのはケース3です。忙しい時期(例3月、5月、7月の隔月)しか、月100時間の残業をしていないという場合は、その他、仕事の負担を考慮し、労災か否かが判断されます。「その他、仕事の負担が強かった」という証拠、例えば、上司にセクハラやパワハラを受けていた、部署の命運を左右する大きいプロジェクトを任されていたなどの有力な証拠をどれだけ多く提出できるかが勝負となります。しかし、この「その他、仕事の負担が強かった」ことを示す効果的な証拠を自分で用意するのはなかなか難しいものです。
 また、一見、労災認定が容易そうなケース1やケース2についても、しっかりした残業の証拠がないということが多々あります。そのような場合には、パソコンのログイン記録や手帳の記録など様々な証拠を集めて残業時間を主張します。このような場合にもなかなか効果的な証拠を自分で用意するのは難しいでしょう。


 先日、大手広告会社の電通に勤務していた女性新入社員が、過重労働が理由で自殺した件が労災と認定されました。この件に関して、1ヶ月間の時間外労働が約105時間であったという報道がありました。時間外労働が100時間を超えるということは、それほど珍しい事ではないのかもしれません。体調不良が続いていて、うつ病と診断された方は、自分の残業時間を1度確認してみても良いかもしれません。


 もしかして?と思う方は、一度、自分の残業時間を確認してください。そして、ケース3にあたるような場合、ケース1やケース2でもしっかりした証拠がない場合は、自分の権利を守るために専門家の助けが必要です。このようなことでお困りの場合は、一度弁護士に相談ください。

(弁護士 井川夏実)

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2016年2月 4日 (木)

会社を辞める時のいろいろなトラブル

  会社を辞めたいと会社に告げた場合、
・今、人手がなくて辞められたら困る(=辞めさせない)
・辞めたら損害賠償・罰金を支払ってもらう
・辞めてもよいが、企業秘密を扱っていたのだから、同じ仕事に移ることは許さない(=同種の仕事をしない、した場合には罰金を支払う)
などと、会社に迫られる場合があります。このような場合にどうすれば良いのでしょうか。

第1 法的な規定
 会社を辞めるという場合に法的に考えると、①合意解約、②辞職の2種類があります。①合意解約とは、労働者と会社が合意して退職することです。退職願を出して、使用者と話し合って手続きを進めていきます。会社と労働者の関係が円満に保たれていますので、①が行える場合、使用者と労働者の対立は発生しません。②辞職とは、労働者の一方的な意思表示による労働契約の終了です。使用者が辞めないで欲しいと言っている場合、②の方法によらざるを得ず、トラブルが発生する可能性が出てきます。

 ②については、民法に規定があります。民法627条には、労働者はいつでも解約を申し入れすることができる、解約の申出から2週間を経過すれば労働契約は終了すると定められています。つまり、労働者は、辞めたいと会社に告げてから2週間で、会社を辞めることができます。

第2 会社の辞めさせない、辞めるなら罰金を払えという主張
 それでは、会社から
・上司の「もっと早く言うべきだ、3か月前には言ってもらわなければ」という主張
・会社の自己都合で退職する場合には3か月前に申し出るという規定がある
と言われて場合、労働者は、これに従わなければならないのでしょうか。

 結論からいうと、労働者は、従わなくても良いのです(トラブルを避けるために3か月前に自主的に申し出ることはできますが、これはあくまで、法的に求められていることではありません)。

 また、「辞めてもいいけど、損害賠償や罰金を払って」というような会社や会社の規則を認めてしまうと、「労働者は申し入れから2週間で、退職することができる」という労働者の権利を制限することになってしまいますので、このような会社の主張も認められません。

 そもそも、退職の時だけでなく、会社は労働者に対して、仕事上の1回のミスで罰金いくら、遅刻1回で罰金いくらというような損害賠償額を予定する契約をしてはいけないことになっています(労働基準法16条)。これを認めてしまえば、会社は些細なミスにも罰金を定め、その罰金がかさめば、労働者をタダで働かせることが可能になってしまうからです。この規定からも、例え、会社の規定に、「3か月前に退職を申し出なければ罰金〇円」と定められていたとしても、退職に際して、労働者が罰金を支払う必要はないと言えます。

 ただ、注意点として、解約を申し入れた時期について問題となることがありますので、(例:辞めるなんて聞いていない等)書面で申し入れをし、申入書のコピーを取っておくなど、証拠を作っておくことは重要だと思います。

第3 競業避止義務
 会社を辞めるにあたり、会社から「辞めても良いけど、同業他社に勤めない、勤めたら罰金〇円という合意書に署名・押印しろ」などと求められることがあります。法律用語で競業避止義務を負わせるような合意書と言います。このような時、労働者はどのように対応したら良いでしょうか。

 まず、第1に署名・押印しない!ということです。署名・押印する義務はありません。辞職の申し入れをして、2週間経過すれば、会社の了解はなくても労働契約は終了します。焦って、署名・押印する必要はありません。

 それでは、署名・押印しまったら、これに従わなければならないのでしょうか。そもそも、労働者には、職業選択の自由が認められているので、原則的には競業避止義務は認められていません。これが、一定の要件を満たす場合に例外的に認められるに過ぎません。その要件は、労働者と会社の同意があって、さらに、合理的な場合という要件です。署名・押印してしまったからと言って、合理的でなければ、労働者は競業避止義務を負いません。合理的かどうかは、次の視点で判断します。

①目的の正当性
 会社の利益を守るたえやむを得ない場合などです。労働者に対する嫌がらせなどは許されません。

②在職中の従業員の地位
 在職中、会社の中枢(≒経営陣側)であったり、企業秘密を知っている場合です。

③競業が禁止される範囲(地域的限定、期間、行為の範囲)
 「全世界で、一生、従前の職場で扱っていた仕事すべて」というような制限は許されません。これは、もはや仕事に就くなというのと同義です。制限は、必要性が認められる範囲に限られます。

④代償措置の有無
 高額な賃金や役員報酬、高額な退職金等、制限を受けてもやむを得ない収入がある場合です。

 辞職にあたり、競業避止義務の合意書に署名・押印した場合にもあきらめる必要はありません。一度、弁護士にご相談ください。

(弁護士 井川夏実)

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2015年5月19日 (火)

過労死に関する最近の労災認定事例

報道によると、今年の3月に、心疾患で死亡した男性について、過労死として労災認定した事例があったということです。

この事例がなぜニュースになるのかといいますと、この男性が、裁量労働制で勤務していたためです。

裁量労働制では、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた一定の時間を労働時間とみなして賃金を計算する仕組みです。
(裁量労働制について、詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
http://rousaibengo.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-a337.html)

この裁量労働制は、労働基準法上の労働時間規制や賃金の関係で、一定時間を労働時間とみなすものにすぎず、労災認定における長時間労働の判断においては、実際の労働時間が基準とされることはいうまでもありません。

しかし、裁量労働制の労働者については、会社に、実際の労働時間に関する正確な記録がなく、労働時間を証明することが困難なことが多いのが実情といいます。

ところが、この事例では、男性が顧客にインターネットで発信していたリポートの発信記録や、同僚の証言をもとに、実際の労働時間を証明したということです。

ところで、今国会では、労基法上の労働時間規制を受けないホワイトカラー・エグゼンプション導入や、裁量労働制の対象拡大等を内容とする労基法改正案が議論される予定です。
反対論も強く、改正法が成立するのかどうかはまだ不透明です。

しかしいずれにしても、大事なポイントは、どのような制度のもとであっても、従業員の実際の労働時間・状況を正確に把握し、過重な負荷がかかっていないかどうか、従業員の健康に十分に配慮することが会社側には求められている、ということではないでしょうか。

(弁護士 佐藤 優樹)

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2015年5月 7日 (木)

給料の未払いにご注意

 平成26年2月20日に,東京高等裁判所で,賃金の未払いに関し,次の様な判決が出ました。

 解雇無効と賃金の仮払いを認める決定が確定した後も賃金を支払わなかったことについて,会社代表者は,従業員に対し,慰謝料及び弁護士費用を支払う義務がある。慰謝料の額は20万円で,弁護士費用は2万円である,というものです。

 裁判所は,①仮払いの決定に基づく債権差押に際し,差押の対象とされた債権の発生原因となる原契約を解除したり,②債権が無いという虚偽の陳述書を裁判所に提出したり,③売掛金が会社の口座に入金されるとすぐに代表者の口座に送金したりしていることを考慮して,代表者には悪意があると判断しました。
 また,代表者は,従業員が賃金の仮払いを求めた事情を,その手続きの中で認識できたことから,仮払いに応じないことにより従業員に損害を与える結果となることを認識していたと判断しました。

 義務を果たさない場合は,遅延損害金を支払うことになるのは当然ですが,普通はそれ以上の責任を負わないものです。
 しかし,賃金という,従業員の生活に直結する義務を果たさない場合には,その態様によっては慰謝料の支払義務が発生するということを裁判所が認めたと考えられます。もっとも,今回のケースは,強制執行を免れるために色々なことをしていて,単なる不履行とは言えないものだとは思います。
 今回は,賃金の仮払いの決定が出ているというケースですが,そうでない場合であっても,悪質な不払いについては,もしかしたら慰謝料等を支払う必要が出てくるかもしれませんので,賃金の未払いには注意された方が良いかと思います。

 なお,賃金の未払いについての遅延損害金は年6%ですが,従業員が退職した場合には,年14.6%となりますので,この点にも注意が必要です。

(弁護士  髙 井 善 達)

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2015年4月 6日 (月)

ストレスチェック検査制度の導入について

 精神障害の労災認定件数が増加し、職場での強いストレスを感じている労働者の割合が高い状況で推移しています。

 このような現状を受け、「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」が平成26年に成立しました(平成27年12月施行予定)。この改正法では、労働者(従業員)に対して、医師などによる心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェックテスト検査)を実施することが事業者(使用主)に義務付けられました。

 このストレスチェック検査の結果、今後省令でで定める要件(高ストレスと判定された者などを含める予定)に該当する労働者から申出があった場合、医師による面接指導を実施することが事業主の義務となります。また、面接指導の結果に基づき、医師の意見を聴き、必要に応じて就業上の措置(作業の転換や労働時間の短縮など)をとることが事業主の義務となります。

このような義務に事業主が違反した場合、事業主の安全配慮義務違反が認められる可能性が高まると考えられ、今後、ストレスチェック検査の導入が実務に及ぼす影響が注目されます。 

労働者が職場でストレスを理由に、事業主に対し損害賠償請求などをする事案が増えている中、事業主は、従業員のストレス軽減に向けて取り組むことが求められているといえます。

(弁護士岩永愛)

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2015年3月16日 (月)

社会保険給付の控除方法

今回は、技術的な内容となりますが、労災問題に関わる、実務上重要な最近の最高裁判例を紹介したいと思います。


労働災害が発生すると、被災労働者又は遺族は、事業者に対して民法上の損害賠償や、労基法上の災害補償を求めることができます。

しかし、これ以外にも、様々な社会保険給付を受けられる場合があり、労働者災害補償保険法の保険給付も、このうちの一つです。


このような給付を受けた場合、事業者の損害賠償額から、給付額を差し引かれることがあります。

労災保険の遺族補償年金についても、従来から、損害賠償額から差し引かれることが、判例上認められていました(最高裁平成16年12月20日判決)。


しかし、差し引く方法については、従来の判例は、損害賠償額の「遅延損害金」からまず差し引くべきである、と解釈できる判断をしていました。

遅延損害金というのは、労災事故の日から発生する利息のことで、法律上、年5%とされています。


まず遅延損害金から差し引いて、まだ残額があれば、元本から差し引くという方法の方が、賠償を受ける側にとっては有利になります。


しかし、最高裁は、この従来の判例を変更し、遺族補償年金は、損害賠償額の「元本」から差し引くべきであるとの判決を出しました(最高裁平成27年3月4日判決)。


従来の判例に対しては、反対説も強く、その後の最高裁判例の傾向からすると、今回の判例変更はある程度予想されていたものといえますが、最高裁の立場が確定したわけですから、実務的な影響は大きいでしょう。

そして、労働者側にとっては、元本から差し引かれることにより、受け取ることのできる金額が減ることになってしまいます。


遅延損害金の金額なんて大したことはないのでは、とお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、元本の金額が大きいと、利率が5%で計算されますので、かなり大きな額になります。

例えば、損害全体が1億円であれば、遅延損害金は、1年で500万円になります。

(なお、年5%という法定利率については、現在、法律を改正して引き下げる方向で議論が行われています。)

このように、損害賠償金以外にも様々な給付がありますが、これを受け取った場合に、損害賠償額から差し引くことになるのか、差し引く場合にどのように計算するのかは、給付の性質によって議論があり、結論も異なります。

損害賠償額を計算する際には、このあたりについての理解も必要不可欠なのです。

(弁護士 佐藤 優樹)

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2015年3月 2日 (月)

セクハラと懲戒処分

2月26日に,セクハラをした男性従業員に対する出勤停止と降格処分が争われた事件の最高裁判決が出ました。

事件の内容は,男性従業員が派遣社員やこの会社から業務を請け負っている派遣会社の社員に対し,性的な発言をした(具体的な発言内容は割愛します。)というものです。

発言自体がセクハラに当たることは1審から最高裁まで一致しています。
ただ,セクハラをしたことに対する処分が重すぎるかどうかについて判断が分かれました。1審は,処分は妥当だと判断しましたが,2審は,重すぎると判断しました。

最高裁判所は,処分が妥当だという1審判決を支持しました。

その理由として,発言内容やセクハラをしていた期間に加え,会社がセクハラ防止を重要課題として位置づけ,禁止文書を作成したり研修への参加を義務付けていたこと,男性従業員が管理職の立場であったこと,セクハラの結果,派遣社員が会社を辞めたことから,会社の職場規律に及ぼした影響は見過ごせないとを挙げています。

また,2審は,派遣社員が明確に拒否しておらず,許されていたと誤解していたことを男性従業員に有利に考えましたが,最高裁は,職場のセクハラについては被害者が抗議,抵抗,会社への被害申告を控えたりすることが少なくないので,余り有利な事情にはならないというようなことを言っています。

2審は,処分を受ける前に会社から警告や注意等を受けていないことなども有利な事情としましたが,最高裁は,管理職だから会社のセクハラ防止に関する取組などは当然把握すべきだし,第三者がいない状況でなされていることが多く,会社が被害の事実を認識して警告等をする機会がないこと等から,これも有利な事情とは捉えませんでした。

(弁護士  髙 井 善 達)

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2015年2月 3日 (火)

給料日が休日の場合、支給は後日でも良いか?

Q 給料日が休日の場合に、休日明けに給料を支払うのは、労働基準法に違反しますか

A 給料日が休日だった場合に、給料の支払日を繰り下げる(休日明けに支払う)ことは、それ自体で労働基準法に違反するわけではなく、就業規則に規定すれば可能です。例えば、毎月25日が給料日の会社が、25日が休日なので、26日に振り込むというような場合です。

 ただし、仮に給料支払い日が月末だった場合には、問題が生じます。
 労働基準法は、「賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」(法24条2項)と定めており、毎月1日から月末までの間に数なくとも1回は賃金を支払わなければならないと法律は規定しています(賃金の一定期日払いの原則)。

 このため、仮に給料支払日が毎月月末と定められている場合は、月末が休日の場合に支払日を繰り下げると、前回の給料の支払日から、1カ月以上の間隔が開いてしまうことになり、労働基準法にに違反する事態が生じます。

 給料の支払いに関しては、上記のほかにも労働基準法に様々な原則が定められています。労働者の生活の糧である賃金が一定期間内に確実に労働者の手に渡るようにするためです。賃金の支払いに関して法律に違反しないか疑問を持たれた場合はご相談ください。

(弁護士岩永愛)

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2014年12月15日 (月)

残業代等の請求期間について

残業代請求事件は、労働関係訴訟の中でも件数が多く実務上重要ですが、時間との勝負になることが多いで
す。

残業代請求の消滅時効は2年とされており(労基法115条)、請求日より2年以上前に支払日が到来する残業代請求権は消滅時効にかかってしまい、請求出来なくなる可能性があります。

 また、残業代請求を認容する判決には、「付加金」の支払を命じる場合がありますが、この付加金の請求は「違反のあった時から2年以内にしなければならない」と規定されています(労基法114条ただし書)。(付加金とは、労基法上支払いが命じられている金銭を支払わなかった使用者に対して、労働者の請求により裁判所が命じる未払い金と同一額の金銭のことをいいます。)

そして付加金を請求できる「2年」という期間は消滅時効期間ではなく除斥期間とされており、基本的に2年以内に訴えを提起する必要があります。

内容証明郵便で残業代を請求(民法153条)することで、残業代請求権自体の時効消滅は止めることが出来たとしても、付加金の請求権の消滅を防ぐには不十分で、注意を要します(消滅時効と除斥期間とは、どちらも一定期間権利が行使されないことによって権利が消滅するという点で共通しますが、消滅時効は一定の場合に時効中断(民法149条)といって権利の消滅を止めることが可能であるのに対し、除斥期間には中断という制度がないなどの違いがあります。)。

また、労働審判では付加金の支払を命じることは出来ないとされていますが、労働審判の申立書には付加金の請求を記載しておく方が無難です。労働審判で調停が成立せず、訴訟に移行した場合には、労働審判手続きの申立がなされた時に訴えの提起があったものとみなされるので(労働審判法22条1項)、労働審判の申立時点で2年の除斥期間の経過による付加金請求権の消滅を防ぐことができるからです。

このように、残業代などを請求できる期間には限りがあります。会社側との交渉に時間を割いているうちに、気づいたら時間の経過によって請求権が消滅してしまったなどの事態が生じかねません。早めに専門家に相談するなどし、適切な手続きをとる必要があります。
 
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2014年12月 3日 (水)

マタハラについて

平成26年10月23日,最高裁判所は,妊娠を理由にした降格処分を争

った裁判で,雇用主の裁量の範囲内とした広島高等裁判所の判決を破

棄して,審理を差し戻しました。

この事件は,処分を争っていた女性従業員が,降格処分については一応

承諾をしていたようです。しかし,例え従業員が承諾したからといっても,

妊娠したことなどを理由に降格することは原則として無効であると判断

されました。


降格が許される場合としては,1労働者の自由な意思に基づいて降

格を承諾したと認められる合理的な理由が客観的に存在する場合,ま

たは,2雇用機会均等法9条3項の趣旨・目的に実質的に反しないもの

と認められる特段の事情が存在する場合を挙げています。そして,1や

2の様な事情があるか否かについては,さらに具体的な考慮事由を述

べています。


今回の判決は,雇用機会均等法という,女性従業員の地位を保護する

法律が存在していたことが大きいと思われますが,雇用主と従業員とい

う力関係が明確な場合,立場の弱いものが承諾していても,その承諾が

自由意思によると考えられるような事情が無ければならないとするもの

で,他の場面にも応用できるかもしれません。

また,妊娠等を理由とする降格処分についても,様々な事情を総合的に

判断する必要があるため,専門家に相談されるのが良いかもしれません。


(弁護士  髙 井 善 達)

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