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2013年8月

2013年8月29日 (木)

病気で働けなくなってしまったら

 ストレスの多い現代、精神疾患などの病気で、働くことが出来なくなってしまう方が増えています。このような方のご相談で多いのが、病気を理由にいったん休職したけれど、休職期間満了時に、会社から辞めるよう言われてしまったというご相談です。


まず、上司から退職の話を切り出されただけではまだ「解雇」ではありません。

「解雇」は、通常、人事権者から通告をされたり、辞令を交付されたりするものですから、会社を代表していない管理職が単に単に話した程度であれば、それは通常、「退職勧奨」に過ぎません(退職勧奨とは、会社から従業員に労働契約を合意で解除するよう解除の申し込みをしたり、申し込みの誘因をしたりすることです)。


会社からの退職勧奨に応じるかは、従業員が自由に決めることが出来ます。従業員が勧奨行為に応じる義務はありません(裁判例1)。


退職届を提出しても、上司に提出したにすぎず、退職の決済手続きや辞令交付が行われていない段階であれば、退職届を撤回し、退職の効力を発生させないことができます。仮に退職の効力が生じて撤回が認められないとしても、退職の取り消しや無効を主張したり、退職強要の事実があれば損害賠償請求をしたりすることもできます。


実際に、従業員が退職届を書いたとしても、錯誤で無効となったり(裁判例2)、強迫で取消しとなったり(裁判例3)した事案があります。

多数回、長時間にわたり退職届を欠くよう執拗に迫って退職を強要し、使用者が従業員に損害賠償しなければならないとしたケースもあります(裁判例4)。


 以上は退職勧奨にとどまる場合です。

 さらに進んで「解雇」となってしまった場合はどうでしょうか。


「解雇」となった場合でも、解雇が無効になることがありますから諦めてはいけません。

実際に、躁うつ病の従業員が休職後に解雇されたけれども、その解雇は無効であるとしたケースがあります。

 このケースでは、裁判所は、「躁うつ病の従業員にはいまだ治療の効果を上げる余地があり、再度の休職を検討すべきであった」ということを理由として、解雇は無効であるとしているのです(裁判例5)。

 病気を理由に働けなくなってしまった方も、すぐにあきらめるのではなく、一度専門家にご相談されることをお勧めします。

 

裁判例1 「鳥取県教育委員会事件」鳥取地裁判例昭和61年12月4日 労判486号53頁

裁判例2 「昭和電線電纜事件」横浜地裁川崎支部平成16年5月28日 労判878号40頁

裁判例3 「ニシムラ事件」大阪地決昭和61年10月17日 労判486号83頁

裁判例4 「下関商業高校事件」最一小判昭55年7月10日 労判345号20頁

裁判例5「カンドー事件」東京地裁平成17年2月18日 労判892号80頁

 

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2013年8月13日 (火)

雇用法制の規制緩和

先日(8月6日)の報道によると、厚生労働省は、労働者派遣規制の大幅見直しを検討しているということです。


 現在は、同一事業場・同一業務につき派遣可能な期間は、最長3年間とされています(専門26業務は例外)。

 派遣先企業が、ある業務について派遣労働者を利用しようとしても、3年間までということです。

 そこで、この期間規制を廃止し、期間の上限を、労働者ごとに設けるというのが今回の厚生労働省の案です。

 この案によると、派遣先企業は、派遣労働者を交代させれば、その業務について継続的に派遣を利用することができるようになってしまいます。


 これには、正社員の労働組合などから、派遣先企業が、正社員を派遣労働者に置き換えることを容易にし、正社員の雇用を脅かすものだとの批判が出ています。

 

 しかし他方で、派遣労働者の権利をいかにして保護するかも重要な課題であることはいうまでもありません。

 ところが、今回の案は、派遣労働者の権利を保障するためのものでもなさそうです。


 結局、今回の見直し案は、派遣労働者の利用を拡大してコストの削減を図りたい企業にだけ都合のいい内容となっていて、労働者-正社員と派遣労働者いずれにとってもプラスにはならないのではないか。

 これが問題の核心であるように思います。


ところで、解雇規制の緩和も検討されています。


合理的な理由のない解雇は無効なのですが(労働契約法16条)、これを改正して、金銭の支払いと引替えに解雇できるようにするなど、解雇を容易にする方法が議論されているのです。


いずれの方針も、実現すると、非正規雇用がますます拡大すると懸念されており、今後の動向が注目されます。


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2013年8月 5日 (月)

労働者の権利と義務

 アルバイトや正社員として働き始めたとき,労働者は会社に対し,どのような権利を有し,義務を負っているのでしょうか。

 労働者と会社との法律関係は,雇用契約や労働契約と呼ばれています。

 その本質的な内容は,①労働すること,②①に対する報酬を支払うことにあります(民法623条,労働契約法6条)。

 ただ,それ以外にも色々な権利や義務があります(労働者の権利としてはボーナスや有給休暇など,義務としては残業や転勤など)。このような権利や義務はどこから生じるのでしょうか。

 法律上の原則は,契約当事者の合意が権利や義務の発生根拠となります(民法623条,労働契約法6条)。例えば,労働者が転勤があることを了解していなければ,雇用主は労働者を転勤させることはできません。

 もし,明示していた労働条件と事実が違うときには労働者はすぐに契約を解除することができます。解除することで帰郷する労働者に対しては,会社は必要な旅費を払わなければなりません(労働基準法15条)。

 一度決めたものを変更することも可能です(労働契約法8条)。

 このように,原則は,契約当事者の合意が権利や義務の発生根拠ですが,労働者は立場的に弱いことから,法律で保護されています。それが労働基準法などです。労働基準法に決められている基準に満たない内容の労働契約は,基準を満たしていない部分が無効になり,労働基準法で定められた基準が契約の内容になります(労働基準法13条)。

 ただ,「労使協定」を締結することで,時間外・休日労働をさせることができたり(労働基準法36条)するなど,一定の法規制を緩和することができます。

 「労使協定」というのは,労働者の過半数で組織する労働組合がある時にはその労働組合と,無い場合には労働者の過半数を代表する者との間で書面でした協定のことです。労働基準法以外にも雇用保険法や育児・介護休業法(育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)などにも労使協定によって一定の法的効果が与えられています。

 また,一般的に雇用契約は,1人の雇用主と多数の労働者との契約で,いちいち1人1人と細かい内容の契約をすることが大変であることから,労働基準法は,「労働協約」又は「就業規則」によって,労働者の権利や義務を画一的に定めることを認めています。

 「労働協約」というのは,労働組合と雇い主等との間でした合意で,書面を作成し両当事者が署名等することで有効となるものです(労働組合法14条)。

 「就業規則」というのは,一定の人数の労働者を雇っている会社が作成することを義務づけられているもので,賃金や退職に関する事項などを記載したものです(労働基準法89条)。労働者の過半数で組織する労働組合か,それがなければ労働者の過半数を代表する者の意見を聞いた上で作成や変更をすることができます(同法90条1項)。①合理的な労働条件が定められていて,②労働者にその内容を周知させていた場合には,その内容が労働者の権利や義務となります。但し,就業規則の内容とは違う条件で合意することはできますし,労働者と会社との合意内容が就業規則に決められている条件に満たない場合は,労働契約は無効となり,その部分は就業規則に決められている内容が労働者の権利や義務となります(労働契約法12条)。

 労働者との合意をしないで就業規則を労働者の不利益に変更することは基本的にできませんが(同法9条),一定の場合には不利益に変更することが可能です(同法10条)。

 このように,労働者が会社に対し,どのような権利を有し,義務を負っているかは,①労働契約,②労働協約,③就業規則,④労働基準法等の法律,⑤労使協定などを検討する必要があり,複雑です。


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2013年8月 2日 (金)

休職期間満了後に解雇できるか

 病気や怪我というのは、あってほしくないことですが人生には往々にしてあります。
 会社では、このような場合、「休職」という手段を用意しています。
 休職中に病気や怪我を直してくださいという趣旨です。

 ところで、休職期間というのは無制限ではありません。
 休職期間が決まっています。
 その期間が満了しても、復職できない場合は、退職してくださいという就業規則になっている会社は多いです。
 
 では、その際に無条件で解雇できるのか?
 就業規則どおりにしなければならないのか?
という疑問が生じます。
 
 結論。会社はこのような場合でも解雇を制限されます。
 
 会社は、労働者が、休職して、従前の仕事に復帰できない場合でも、同じ会社の別の業務をすることができる場合には(会社の規模や異動の実績があるかなど、少し、制約はありますが)、別の業務に就けさせる責務を負うからです。
 
 休職ではなく、配置転換に関するものなのですが、参考になる裁判例があります(最高裁平成10年4月9日判決労判736号)。

 事案。建設工事の現場監督に従事していた労働者が私病(バセドウ病)から、配置転換を求めたのですが、会社がこれを拒否し、自宅療養を命じ、賃金をカット。

 裁判所は、労働契約締結の際、業務内容が特定していない(現場監督に限るなど)場合、企業の規模や異動の実情等を考慮し、労働者が他の業務で労務を提供することができるときには、それを会社は受け入れて、労働者を他の業務に就けさせなければいけないと判断しています。
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