無料ブログはココログ

« 三六協定とは | トップページ | 育児と仕事の両立 »

2013年11月25日 (月)

出向命令が無効と判断されるとき

以前の記事で、出向について触れましたが、最近、出向命令を無効と判断した判決が出されました(東京地裁平成25年11月12日判決)。

新聞やテレビのニュースでご覧になった方も多いのではないでしょうか。

事案は、人員削減を発表した被告会社(デジタルコピー機等のメーカー)から、希望退職への応募を求められ、それを拒否した後に子会社への出向を命じられた原告が、出向命令は無効であるとして、「出向先において勤務する義務のないこと」の確認を求めたものです。

東京地方裁判所は、出向命令を無効と判断しました。

訴訟での主な争点は、①出向命令に法律上の根拠があるか(出向命令権の有無)、②(出向命令権があるとされた場合)本件の出向命令は権利濫用に当たらないかでした。

裁判所は、以下のとおり、まず、①については、被告会社には原告ら労働者に出向を命令する権利があったと判断しました。

まず、前提として、会社が労働者に出向を命じるには、当該労働者の同意その他出向命令を法律上正当とする明確な根拠を要する。

本件では、労働者の個別具体的な同意はない。
しかし、
・就業規則等に出向等を命じる場合がある旨、出向先での労働条件・処遇について配慮する内容の定めがある
・原告被告間の労働契約上、職種や職務内容に関し特段の限定はない
・入社時に就業規則等を遵守すること、異動の命令に従うこと等を約束する誓約書を提出している
・社内規定に、出向先となった子会社が、出向先として予定された企業であることが具体的に明記されている
これらの事情から、労働者の個別的な同意に代わる明確かつ合理的な根拠があるというべきである。

しかし、②の争点について、裁判所は、本件の出向命令は、人事権の濫用に当たるとして、無効と判断しました。

その理由は次のとおりです。

出向命令権の行使が権利濫用に当たるか否かの判断は、
ア 出向を命ずる業務上の必要性
イ 人選の合理性(対象人数、人選基準、人選目的等の合理性)
ウ 出向者である労働者に与える職業上又は生活上の不利益
エ 当該出向命令に至る動機・目的等
を勘案して判断すべきである。
そして、
アについて、当時の被告会社の経営状況からすると、人員削減の必要性は否定されず、事業内製化による固定費の削減を目的とするものである限りは、出向命令に業務上の必要性を認めることができるとしつつ、
イについて、被告会社は、事業内製化のための配転・出向対象者選定のために余剰人員の人選を行ったとするが、実際には退職勧奨の対象者を選ぶために行われたとみるのが相当であるとし、
ウについて、出向先では立ち仕事や単純作業が中心で、それまで一貫してデスクワークに従事してきた原告らのキャリアや年齢に配慮した異動とはいい難い、
エについて、希望退職への応募を求められた際、生産・物流の現場への異動がほのめかされていたこと等から、本件出向命令は、退職勧奨を断った原告らが翻意し、自首退職に踏み切ることを期待して行われたものである、
したがって、本件出向命令は人事権の濫用として無効である。
被告会社は控訴しており、控訴審では異なる判断が出される可能性もありますが、具体的にどのような場合に出向命令が無効となるかを判断するにあたって、参考となる裁判例といえるでしょう。

(佐藤 優樹 弁護士)

労働問題のご相談は無料(初回)
 ***************************************
千葉市中央区中央4-8-8日進ビル5F
法律事務所大地
http://www.lo-daichi.com/
ご相談受付は
  平日午前9:15~午後5:00は、043-225-0570まで。
  平日午後5時~午後7時半、土日祝午前9時から午後7時半は、
  043-221-1388(相談受付専用)までお電話下さい。
  ****************************************

« 三六協定とは | トップページ | 育児と仕事の両立 »

その他」カテゴリの記事