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2014年8月12日 (火)

長期休暇と時季変更権

すっかり夏本番となりました。
夏休みをとる方も多いと思いますが、できれば長期間の休みをとって、旅行にでも行きたいところです。

さて、以前こちらの記事(http://rousaibengo.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-920e.html)で、有給休暇について触れました。

有給休暇は、一定の要件を満たせば当然に取得できる法律上の権利です。
有給をとるという行為は、その時季を指定する行為(時季指定)にすぎないのであって、使用者から承認を得る必要はないのです。

しかし、「事業の正常な運営を妨げる場合」には、使用者は、有給の時季を、他の時季に変更することができるとされています(時季変更権)。

この点に関して、長期の有給休暇に対して使用者が時季変更権を行使したことの適法性が争われた有名な判例があります(最高裁平成4年6月23日判決・民集46巻4号306頁-時事通信社事件)。

事案は、科学技術庁(当時)の記者クラブに単独で配置されていた時事通信社の記者が、使用者との十分な調整をすることなく約1か月間の有給休暇の時季指定をしたのに対し、使用者が休暇の後半部分について時季変更権を行使したというものです。

最高裁判所は、労働者が他の労働者との調整を経ることなく長期かつ連続の有給休暇を取得しようとする場合においては、これに対する使用者の時季変更権の行使については、当該休暇が事業運営にどのような支障をもたらすか、当該休暇の時期、期間につきどの程度の修正、変更を行うかに関し、使用者にある程度の裁量的判断の余地を認めざるを得ないとして、当該事案において、使用者の時季変更権の行使を適法と判断しました。

長期休暇をとろうとする方の多くは、実際には、事前に上司や同僚と調整してから休暇を取得するでしょうから、最高裁の判断は、ある意味では当たり前と感じる方が多いだろうと思います。

しかし、本来は権利である労働者の時季指定について、使用者らとの事前調整が、法的に要請される場合があるということには、(その是非はともかく、)注意しておいた方がよいのではないでしょうか。

(弁護士 佐藤 優樹)

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