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2014年10月

2014年10月20日 (月)

職場のパワーハラスメント

以前本ブログでも取り上げましたが(過去記事)、職場におけるパワーハラスメントが大きな労働問題になっており、相談件数が増加しています。

上司が部下を指導注意・叱責するとき、社会通念を超える態様で行われれば、部下の人格的利益を侵害する違法行為となりえます。

しかし違法な行為なのか、それとも指導・指摘として許容される適法な行為なのかは判断が難しい場合があります。今回は、パワハラが問題となった裁判例の中で、地裁と高裁とで判断が分かれた限界事例をいくつか取り上げてみたいと思います。

以前本ブログでも取り上げた事例ですが、部下の能力の低さを職員らにメールで送信したという事例で、地裁と高裁とで判断が分かれたものがあります(東京高裁平成17年4月20日・労判914号82頁「A保険会社上司事件」)。

この事例で、地裁は、上司の行為は裁量の範囲内として適法としましたが、高裁では許容範囲を超えて違法とし、5万円の慰謝料の支払を認めました。

高裁でも、上司がメールを送信した目的は、部下を叱責督促するという趣旨であり、その目的は是認することができると認定されました。しかし、メールの表現が、「やる気が無いなら、会社を辞めるべきだと思います。」などという退職勧奨とも受け取れるような相当強い表現であり、また、送信先も部下だけでなく同じ職場の従業員10数名に送信し、赤文字でポイントも大きく記載されていることなどが問題とされ、「本件メール送信の目的、表現方法、送信範囲等を総合すると」不法行為(名誉棄損行為)にあたると高裁では判断されました。

また、営業所長が、上司からノルマ達成を求められ叱責をうけ、その後自殺したという事例で、地裁と高裁とで判断が分かれたものがあります(高松高裁平成21年4月23日・労判990号134頁)。

この事例で地裁では、上司の行為を不法行為にあたるとしましたが、高裁では上司の指導や叱責は、社会通念上許容される業務上の指導の範囲内として、適法としました。高裁でも、営業所長は達成が用意ではない目標を課せられていたとし、上司から業務改善のため、強い叱責を受けたことがあったことは認定しました。

しかし、営業所長が架空出来高を計上するという不正経理をしていたことなどから、上司が、不正経理の解消等についてある程度厳しい改善指導をすることは、上司のなすべき正当な業務の範囲内にあるものというべきであるとし、社会通念上許容される業務上の指導の範囲内であると高裁では判断されました。

このように、業務上の適正な指導とパワーハラスメントとの線引きは容易ではなく、同じ事例でも裁判所の評価が分かれることがあります。具体的な状況によって評価が分かれる難しい問題ですので、職場内でのパワーハラスメントに悩んでいらっしゃる方は是非ご相談にいらしてください。

(弁護士岩永愛)

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2014年10月 2日 (木)

裁量労働制について-その2

以前、裁量労働制という制度についての記事を載せました。
この制度の詳細については、そのときの記事をご覧いただければと思いますが、簡単にいえば、実際に働いた時間に関係なく、一定時間働いたと事前にみなし、そのみなした時間を基に賃金を計算する仕組みです。
http://rousaibengo.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-a337.html

ある研究機関の調査によると、裁量労働制が採用された職場において、決まった時刻に出勤や退勤をするよう求められる人が4割に上り、遅刻したとして賃金カットされるケースも一部にあるそうです。

裁量労働制を採用した場合に、始業時間や終業時間を定めることができるかについては、はっきりとした規定はありませんが、少なくとも、これに反したとして労働者に不利益な処分を科すことは、法の趣旨に反すると考えられます。

また、裁量労働制は、「みなし労働時間」を基に賃金を計算するものではありますが、労働時間規制全てをなくすものではありません。
みなし労働時間と定められた時間が法定労働時間を超えていれば、超過時間分については時間外労働をしたとして割増賃金が発生しますし、深夜労働や休日労働に対しても、割増賃金が支払われなければなりません。

しかし、裁量労働制等の特別な制度が導入されている企業では、(意図的かどうかはともかく、)「うちは裁量労働制だから残業代は一切支払えない」などと説明されている例が少なくないのではないでしょうか。

こうした制度を導入するためには、法律に定められている厳格な要件を充たす必要があります。
そして、適法に導入されているとしても、運用が適法かどうかは、やはり注意しなければならないでしょう。

また、現在、労働時間規制については様々な法改正が検討されていますが、新しい制度ができた場合には、法律に則って適切に導入・運用されているのか、より一層注意する必要がありそうです。

(弁護士 佐藤 優樹)

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