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2015年5月

2015年5月19日 (火)

過労死に関する最近の労災認定事例

報道によると、今年の3月に、心疾患で死亡した男性について、過労死として労災認定した事例があったということです。

この事例がなぜニュースになるのかといいますと、この男性が、裁量労働制で勤務していたためです。

裁量労働制では、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた一定の時間を労働時間とみなして賃金を計算する仕組みです。
(裁量労働制について、詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
http://rousaibengo.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-a337.html)

この裁量労働制は、労働基準法上の労働時間規制や賃金の関係で、一定時間を労働時間とみなすものにすぎず、労災認定における長時間労働の判断においては、実際の労働時間が基準とされることはいうまでもありません。

しかし、裁量労働制の労働者については、会社に、実際の労働時間に関する正確な記録がなく、労働時間を証明することが困難なことが多いのが実情といいます。

ところが、この事例では、男性が顧客にインターネットで発信していたリポートの発信記録や、同僚の証言をもとに、実際の労働時間を証明したということです。

ところで、今国会では、労基法上の労働時間規制を受けないホワイトカラー・エグゼンプション導入や、裁量労働制の対象拡大等を内容とする労基法改正案が議論される予定です。
反対論も強く、改正法が成立するのかどうかはまだ不透明です。

しかしいずれにしても、大事なポイントは、どのような制度のもとであっても、従業員の実際の労働時間・状況を正確に把握し、過重な負荷がかかっていないかどうか、従業員の健康に十分に配慮することが会社側には求められている、ということではないでしょうか。

(弁護士 佐藤 優樹)

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2015年5月 7日 (木)

給料の未払いにご注意

 平成26年2月20日に,東京高等裁判所で,賃金の未払いに関し,次の様な判決が出ました。

 解雇無効と賃金の仮払いを認める決定が確定した後も賃金を支払わなかったことについて,会社代表者は,従業員に対し,慰謝料及び弁護士費用を支払う義務がある。慰謝料の額は20万円で,弁護士費用は2万円である,というものです。

 裁判所は,①仮払いの決定に基づく債権差押に際し,差押の対象とされた債権の発生原因となる原契約を解除したり,②債権が無いという虚偽の陳述書を裁判所に提出したり,③売掛金が会社の口座に入金されるとすぐに代表者の口座に送金したりしていることを考慮して,代表者には悪意があると判断しました。
 また,代表者は,従業員が賃金の仮払いを求めた事情を,その手続きの中で認識できたことから,仮払いに応じないことにより従業員に損害を与える結果となることを認識していたと判断しました。

 義務を果たさない場合は,遅延損害金を支払うことになるのは当然ですが,普通はそれ以上の責任を負わないものです。
 しかし,賃金という,従業員の生活に直結する義務を果たさない場合には,その態様によっては慰謝料の支払義務が発生するということを裁判所が認めたと考えられます。もっとも,今回のケースは,強制執行を免れるために色々なことをしていて,単なる不履行とは言えないものだとは思います。
 今回は,賃金の仮払いの決定が出ているというケースですが,そうでない場合であっても,悪質な不払いについては,もしかしたら慰謝料等を支払う必要が出てくるかもしれませんので,賃金の未払いには注意された方が良いかと思います。

 なお,賃金の未払いについての遅延損害金は年6%ですが,従業員が退職した場合には,年14.6%となりますので,この点にも注意が必要です。

(弁護士  髙 井 善 達)

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