無料ブログはココログ

« 過労死に関する最近の労災認定事例 | トップページ | うつ病などの労災認定 »

2016年2月 4日 (木)

会社を辞める時のいろいろなトラブル

  会社を辞めたいと会社に告げた場合、
・今、人手がなくて辞められたら困る(=辞めさせない)
・辞めたら損害賠償・罰金を支払ってもらう
・辞めてもよいが、企業秘密を扱っていたのだから、同じ仕事に移ることは許さない(=同種の仕事をしない、した場合には罰金を支払う)
などと、会社に迫られる場合があります。このような場合にどうすれば良いのでしょうか。

第1 法的な規定
 会社を辞めるという場合に法的に考えると、①合意解約、②辞職の2種類があります。①合意解約とは、労働者と会社が合意して退職することです。退職願を出して、使用者と話し合って手続きを進めていきます。会社と労働者の関係が円満に保たれていますので、①が行える場合、使用者と労働者の対立は発生しません。②辞職とは、労働者の一方的な意思表示による労働契約の終了です。使用者が辞めないで欲しいと言っている場合、②の方法によらざるを得ず、トラブルが発生する可能性が出てきます。

 ②については、民法に規定があります。民法627条には、労働者はいつでも解約を申し入れすることができる、解約の申出から2週間を経過すれば労働契約は終了すると定められています。つまり、労働者は、辞めたいと会社に告げてから2週間で、会社を辞めることができます。

第2 会社の辞めさせない、辞めるなら罰金を払えという主張
 それでは、会社から
・上司の「もっと早く言うべきだ、3か月前には言ってもらわなければ」という主張
・会社の自己都合で退職する場合には3か月前に申し出るという規定がある
と言われて場合、労働者は、これに従わなければならないのでしょうか。

 結論からいうと、労働者は、従わなくても良いのです(トラブルを避けるために3か月前に自主的に申し出ることはできますが、これはあくまで、法的に求められていることではありません)。

 また、「辞めてもいいけど、損害賠償や罰金を払って」というような会社や会社の規則を認めてしまうと、「労働者は申し入れから2週間で、退職することができる」という労働者の権利を制限することになってしまいますので、このような会社の主張も認められません。

 そもそも、退職の時だけでなく、会社は労働者に対して、仕事上の1回のミスで罰金いくら、遅刻1回で罰金いくらというような損害賠償額を予定する契約をしてはいけないことになっています(労働基準法16条)。これを認めてしまえば、会社は些細なミスにも罰金を定め、その罰金がかさめば、労働者をタダで働かせることが可能になってしまうからです。この規定からも、例え、会社の規定に、「3か月前に退職を申し出なければ罰金〇円」と定められていたとしても、退職に際して、労働者が罰金を支払う必要はないと言えます。

 ただ、注意点として、解約を申し入れた時期について問題となることがありますので、(例:辞めるなんて聞いていない等)書面で申し入れをし、申入書のコピーを取っておくなど、証拠を作っておくことは重要だと思います。

第3 競業避止義務
 会社を辞めるにあたり、会社から「辞めても良いけど、同業他社に勤めない、勤めたら罰金〇円という合意書に署名・押印しろ」などと求められることがあります。法律用語で競業避止義務を負わせるような合意書と言います。このような時、労働者はどのように対応したら良いでしょうか。

 まず、第1に署名・押印しない!ということです。署名・押印する義務はありません。辞職の申し入れをして、2週間経過すれば、会社の了解はなくても労働契約は終了します。焦って、署名・押印する必要はありません。

 それでは、署名・押印しまったら、これに従わなければならないのでしょうか。そもそも、労働者には、職業選択の自由が認められているので、原則的には競業避止義務は認められていません。これが、一定の要件を満たす場合に例外的に認められるに過ぎません。その要件は、労働者と会社の同意があって、さらに、合理的な場合という要件です。署名・押印してしまったからと言って、合理的でなければ、労働者は競業避止義務を負いません。合理的かどうかは、次の視点で判断します。

①目的の正当性
 会社の利益を守るたえやむを得ない場合などです。労働者に対する嫌がらせなどは許されません。

②在職中の従業員の地位
 在職中、会社の中枢(≒経営陣側)であったり、企業秘密を知っている場合です。

③競業が禁止される範囲(地域的限定、期間、行為の範囲)
 「全世界で、一生、従前の職場で扱っていた仕事すべて」というような制限は許されません。これは、もはや仕事に就くなというのと同義です。制限は、必要性が認められる範囲に限られます。

④代償措置の有無
 高額な賃金や役員報酬、高額な退職金等、制限を受けてもやむを得ない収入がある場合です。

 辞職にあたり、競業避止義務の合意書に署名・押印した場合にもあきらめる必要はありません。一度、弁護士にご相談ください。

(弁護士 井川夏実)

労働問題のご相談は無料(初回)
 ***************************************
千葉市中央区中央
法律事務所大地
http://www.lo-daichi.com/
ご相談受付は
  平日午前9:15~午後5:00は、043-225-0570まで。
  平日午後5時~午後7時半、土日祝午前9時から午後7時半は、
  043-221-1388(相談受付専用)までお電話下さい。
  ****************************************

« 過労死に関する最近の労災認定事例 | トップページ | うつ病などの労災認定 »

その他」カテゴリの記事